クレーン会社の営業管理指標|案件数・受注率・受注金額の見方

営業の数字を増やしても、定義がばらばらでは判断に使えません。見積を出していない相談まで案件数に含める人と、見積提出後だけ数える人が同じ表を使えば、受注率は月ごとに大きく揺れます。
クレーン点検・修理会社の営業管理では、期間、案件を数え始める段階、受注・失注を確定する条件、金額の種類を先に固定します。ここでは営業活動を見る指標に絞り、受注金額を会計上の売上や利益と混同しない集計方法を示します。
最初に一枚の定義表を作る
数字の前に定義表を作ります。月次会議なら「その月に新しく入った案件」と「その月に受注・失注が確定した案件」を別々に集計します。月初に残っていた案件を新規案件数へ混ぜると、問い合わせを増やせたのか、古い案件が残っているだけなのか分かりません。
| 指標 | この表での定義例 | 判断できること |
|---|---|---|
| 新規案件数 | 対象月に初回相談を登録し、対応対象と判断した件数 | 入口の量 |
| 見積提出数 | 対象月に顧客へ初版の見積を提出した件数 | 提案まで進んだ量 |
| 受注件数 | 対象月に注文の意思を確認し、受注へ状態変更した件数 | 決着した件数 |
| 受注率 | 受注件数÷受注件数と失注件数の合計 | 決着案件の勝率 |
| 受注金額 | 受注確定時点の税抜契約額など、社内で統一した金額 | 将来実施する仕事の規模 |
| 平均受注単価 | 受注金額÷受注件数 | 案件規模の変化 |
「受注」は注文が決まった営業上の状態です。「売上」は会社が定めた会計処理に基づく別の数字であり、「利益」は売上から原価や費用を考慮した数字です。本記事の受注金額から売上や利益を推定しません。
架空の三か月で計算してみる
次は見方を示すための架空の計算例です。実在企業の実績ではありません。受注率の分母は、その月に受注または失注まで決着した案件だけとします。
| 月 | 新規案件 | 受注 | 失注 | 受注率 | 受注金額 | 平均受注単価 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 7月 | 18件 | 6件 | 4件 | 60% | 480万円 | 80万円 |
| 8月 | 12件 | 5件 | 5件 | 50% | 750万円 | 150万円 |
| 9月 | 20件 | 4件 | 2件 | 約66.7% | 320万円 | 80万円 |
9月は受注率が最も高い一方、決着した案件は6件だけで、保留案件が多い可能性があります。8月は受注件数が5件でも大型修理を含んだため、受注金額と平均受注単価が高いと読めます。数字一つで良否を決めず、母数と案件内訳を一緒に見ます。
受注率は6件中4件なら約66.7%ですが、翌週に保留案件4件がすべて失注確定すると40%になります。件数が少ない会社ほど割合が一件で大きく動くため、単月だけでなく三か月移動平均や四半期累計も併記すると傾向を見やすくできます。
実績レポート画面で分母と期間を確認する
公開LPの実績レポート画面では、営業案件タブと受注案件タブを切り替え、期間、開始日、終了日、担当者、流入きっかけで絞り込めます。上段には営業案件数、受注件数、受注率、受注金額、下段には月次の営業案件発生数と受注件数が表示されています。会議では、スクリーンショットの数字だけを転記せず、どの期間・担当者・流入条件で見たかも記録します。
画面に表示された「営業案件4件、受注4件、受注率100.0%、受注金額8,020,000円」は隔離デモ組織の説明用データです。クレカンの導入成果や一般的な目標値ではありません。また、受注金額は会計上の売上や利益を表すものではないため、社内の売上実績とは別に扱います。

全体平均の前に三つの切り口へ分ける
クレーン会社の案件は、定期点検、緊急修理、更新工事で検討期間も金額も違います。全案件をまとめた受注率が下がっても、更新工事の比率が上がった結果かもしれません。最低限、仕事区分、既存・新規顧客、営業担当で分けます。
- 仕事区分:点検、修理、更新工事、その他。構成の見方は点検・修理・更新工事の受注を分けて見る方法で扱います。
- 顧客区分:既存顧客の追加依頼、休眠顧客の再開、新規顧客。入口の性質が異なります。
- 案件段階:問い合わせ、現調待ち、見積作成中、提出済み、返答待ち。案件段階の設計はクレーン点検会社の営業案件管理を参照します。
顧客別の偏りを見たい場合は顧客別売上管理の記事へ分けます。指標画面にすべてを置くより、今月の問いに答える切り口を選ぶほうが会議で使えます。
集計前に直すべきデータの穴
- 案件の重複:同じ工場の同じ依頼を、電話受付と営業が別々に登録していないか。
- 未決着の放置:返答待ちを何か月も残し、受注率の分母から外れ続けていないか。
- 金額の版違い:初版見積、最終見積、受注確定額のどれを使うか統一しているか。
- 取消・分割:一つの案件が二工場へ分割された時の件数ルールを決めているか。
- 担当の付け替え:引継ぎ案件を新旧両担当の実績へ二重計上していないか。
顧客と機器の重複を抑える土台は顧客管理と機器台帳の作り方にあります。KPI画面を先に作っても、元データの案件IDと状態更新が揃わなければ数字を信頼できません。
数字を会議の問いへ変える
指標は眺めるものではなく、次の行動を選ぶ材料です。たとえば「見積提出数が前月より少ない」なら、問い合わせ減少、現調待ち、見積作成滞留のどこに詰まりがあるかを案件一覧で確認します。「受注率が低い」なら、失注理由が価格、日程、仕様不一致、連絡途絶のどれに偏ったかを見ます。
| 変化 | 確認する一覧 | 会議で決める行動例 |
|---|---|---|
| 新規案件が減少 | 流入元別の新規案件 | 既存客への連絡対象を10社選ぶ |
| 提出数が減少 | 現調待ち・見積作成中 | 担当と提出期限を再設定する |
| 返答待ちが増加 | 見積提出日順の案件 | 今週の確認連絡を割り振る |
| 受注率が低下 | 失注理由と仕事区分 | 上位理由の対策を一つ試す |
会議の進め方と決定記録はクレーン会社の営業会議で確認することで詳しく説明します。
件数と金額に案件の滞留日数を加える
新規案件数と受注率だけでは、見積提出後に止まった案件が見えません。案件段階ごとに、登録日、段階へ入った日、最終接触日を持たせ、経過日数の帯で数えます。たとえば「見積提出後0〜7日、8〜30日、31日以上」のように分けます。区切りは自社の営業サイクルに合わせ、全仕事区分へ一律に当てはめません。
| 段階 | 0〜7日 | 8〜30日 | 31日以上 | 確認 |
|---|---|---|---|---|
| 現調日調整 | 4件 | 2件 | 1件 | 顧客停止日の回答待ちか |
| 見積作成中 | 3件 | 1件 | 0件 | 部品価格・技術判断待ちか |
| 見積提出済み | 5件 | 4件 | 3件 | 確認連絡日が入っているか |
この表も架空例です。長期案件が悪いとは限りません。工場停止日や予算決定を待つ大型工事は時間がかかるため、単に日数で失注へ変えず、保留理由と次回確認日を見ます。
目標値は過去の母数と能力から置く
受注率を上げる目標だけを置くと、難しい新規案件を登録しない、失注確定を遅らせるといった行動が起きます。新規案件数、見積提出までの日数、長期停滞件数など複数の指標を組み合わせ、営業担当が操作できる行動と結果を分けます。人事評価や報酬へ使う場合は、仕事区分と担当役割を考慮した別の設計が必要です。
よくある質問
Q1. 受注率は見積提出数で割ってはいけませんか。
見積提出からの成約率を見たいなら使えます。その場合は「見積受注率」と名前を付け、分母にどの期間の見積を入れるか決めてください。
Q2. 保留案件は受注率の分母に入れますか。
上の定義例では入れません。ただし保留が増える問題を隠さないよう、保留件数と最終更新からの日数を別に見ます。
Q3. 受注金額に消費税を含めますか。
社内で一つに統一します。管理会計や会計処理との接続は税理士などの専門家と確認し、本記事の例をそのまま採用しないでください。
Q4. 売上目標に受注金額を使えますか。
受注と売上の計上時期がずれるため、同じものとして扱えません。受注目標と売上目標を別に持ち、社内の会計方針に沿って管理します。
Q5. 小さな案件を多く取る担当が不利になりませんか。
受注金額だけで評価せず、件数、仕事区分、継続案件、役割を合わせて見ます。人事評価へ使う場合は目的とルールを別に設計します。
Q6. ダッシュボードは毎日更新すべきですか。
案件担当が状態を変えた時に元データを更新し、会議の前に締め時点をそろえる運用が基本です。表示の速さより入力の定義が重要です。
同じ絞り込み条件で案件と受注を振り返る
クレカンの実績レポートは、営業案件数・受注件数・受注率・受注金額を、期間や担当者、流入きっかけを切り替えて確認できると公開LPに掲載されています。最初に自社の案件登録日、受注確定日、受注金額の定義を決め、会議では画面の条件と案件明細を往復して原因を確認します。導入前には、自社が使う月次締めと担当変更の扱いで数字が再現できるかを試してください。
