クレーン点検会社の営業案件管理|問い合わせから受注までの進捗を追う

クレーン点検会社の営業案件は、問い合わせ後すぐ見積へ進む案件もあれば、機器台数や工場停止日を確認してから現地確認する案件もあります。進み方が違う案件を「商談中」の一語で管理すると、次に連絡すべき案件が見えません。営業段階を完了条件で定義し、各案件に次の行動と予定日を持たせることが基本です。
この記事では、問い合わせから受注・失注までの営業案件管理を一つの流れとして整理します。
営業案件の単位を先に決める
1社で複数工場、複数の依頼が同時に動く場合、顧客1社を一案件にすると見積や回答が混ざります。営業案件は「顧客・対象工場・依頼目的・予定時期」のまとまりで作ります。たとえば同じ顧客でも、A工場の年次点検とB工場の修理相談は別案件です。
顧客・工場・機器の関係は顧客管理と機器台帳の作り方で解説しています。案件側には顧客IDと場所IDを持たせます。
営業段階は「何が終われば次へ進むか」で定義する
| 段階 | 完了条件 | 次の主な行動 |
|---|---|---|
| 問い合わせ受付 | 顧客、工場、依頼目的、連絡先を登録 | 条件確認の担当を決める |
| 条件確認中 | 機器、台数、希望時期、現場条件を確認 | 現地確認の要否を決める |
| 提案準備中 | 範囲、原価、日程候補を社内確認 | 見積を作成する |
| 見積提出済み | 送付先、版、送付日を記録 | 確認連絡日を決める |
| 顧客検討中 | 検討内容と次回接点を記録 | 質問対応や再見積 |
| 受注 | 対象範囲と顧客回答が確定 | 現場へ引き継ぐ |
| 失注・保留 | 理由、再接触の可否を記録 | 分析または将来フォロー |
段階を増やしすぎると更新されません。自社の営業会議で判断が変わる地点だけを段階にし、細かな作業は次の行動へ書きます。
案件登録時に最低限そろえる九項目
- 案件番号
- 顧客と工場
- 依頼区分(点検、修理、更新相談など)
- 対象機器または台数
- 問い合わせ経路
- 顧客窓口と意思決定に関わる部署
- 社内担当者
- 現在段階
- 次の行動と予定日
売上見込額は条件確認前なら空欄でも構いません。根拠のない仮金額で合計を大きく見せるより、「金額未算定」を区分し、いつ算定するかを決めます。
営業段階を一覧で確認する実画面
営業案件一覧には、案件タイトル、取引先、ステータス、想定金額、クレーン台数、見積数、発生日、更新日が並びます。「見積中」「見積提出済」などの段階と更新日を同時に見れば、条件確認で止まっている案件と提出後の案件を分けて確認できます。

一覧は段階別の件数より期限超過を先に見る
案件一覧には、段階、最終接触日、次回予定日、見積金額、見込時期、担当者を表示します。会議では、次回予定日を過ぎた案件、担当なし、見積提出後に連絡がない案件を先に確認します。
| 確認軸 | 問い | 決めること |
|---|---|---|
| 期限超過 | 予定日を過ぎても動いていないか | 次の担当と日付 |
| 段階滞留 | 同じ段階が長すぎないか | 障害と解消行動 |
| 情報不足 | 機器や条件が不足していないか | 誰に何を聞くか |
| 見積後 | 受領確認と検討状況を聞いたか | 次回接点 |
| 受注後 | 現場へ必要情報を渡したか | 引継ぎ完了者 |
運用例:同じ顧客の二つの相談を分けて追う
運用例として、C社からA工場の定期点検20台と、B工場の故障修理について同じ電話で相談を受けたとします。案件S-101をA工場点検、S-102をB工場修理として分け、顧客IDだけを共通にします。
S-101は機器一覧の受領待ち、S-102は技術担当の折り返し待ちです。次の行動と担当が異なるため、分けることで修理対応に引っ張られて点検見積が止まることを防げます。修理受付はクレーン修理の受付管理へ接続します。
見積提出後と受注後に確認工程を置く
見積提出済みへ進める条件は、見積を作ったことではなく、送付先、送付日時、版、次回連絡日が記録されたことです。詳しい追客は見積提出後のフォローで扱います。
受注へ進める条件は「口頭で好感触」ではありません。受注として扱う社内条件を決め、対象範囲、日程、顧客窓口、現場条件を営業から現場への受注引継ぎへ渡します。
月次で見る数字は定義を固定する
問い合わせ件数、見積提出件数、受注件数、受注金額、失注件数を集計します。受注率を計算する場合は「当月受注件数÷当月に受注・失注が確定した件数」など分母と期間を明記します。問い合わせ月と受注月がずれるため、単月の数字だけで担当者を評価しません。
失注理由は値段、時期、仕様不一致、連絡途絶、競合、顧客都合などに分け、詳しい活用は失注理由を次の提案に生かす方法へつなぎます。
問い合わせ経路を記録し初動の違いを見る
電話、既存顧客からの紹介、Webフォーム、点検時の相談など、問い合わせ経路を選択式で残します。経路ごとに必要情報が違うためです。Webフォームは文章が詳しくても機器が特定できないことがあり、既存顧客の電話は機器IDへすぐ結べる場合があります。
月次では経路別の問い合わせ数だけでなく、条件確認まで進んだ件数、見積提出までの日数、受注・終了理由を見ます。件数の多い経路が必ずしも有効とは限りません。
重複案件を統合するときも元の受付を残す
同じ顧客から営業と事務へ別々に相談が入り、二つの案件が作られることがあります。統合する場合は主案件番号を決め、重複側を「統合済み」として参照先を残します。削除すると、片方の接点履歴や添付資料が消えます。
| 確認点 | 同一案件の可能性 | 別案件にする条件 |
|---|---|---|
| 顧客・工場 | 同じ場所 | 別工場 |
| 依頼目的 | 同じ点検相談 | 点検と修理 |
| 対象時期 | 同じ実施希望月 | 別年度・別停止日 |
| 見積 | 同じ範囲 | 別注文になる範囲 |
売上見込みは金額と時期の根拠を分ける
見込金額には、未算定、概算、見積提出済み、顧客確認済みなど根拠区分を付けます。見込時期も、顧客希望、社内予想、受注確定を分けます。確度を一つの数字に押し込むより、根拠が何かを会議で確認できます。
集計では、見積提出済み金額と条件確認中の概算を別表示します。受注予定月が過ぎた案件は自動的に翌月へ移さず、顧客へ確認して時期を更新するか終了します。
担当変更時は顧客への次回約束を最初に渡す
営業担当が変わるときは、案件一覧、見積版、接点履歴、顧客組織だけでなく「次にいつ、何を返すと約束したか」を引き継ぎます。新担当が挨拶から始めて約束済みの回答を遅らせないためです。旧担当と新担当の両方が引継ぎ完了を記録します。
週次で空欄と古い日付を点検する
案件数が増えると段階だけ更新し、次回予定日や金額根拠が古いまま残ります。週次で担当なし、次回予定なし、最終接触から一定期間経過、予定受注月超過を抽出し、継続・更新・終了を決めます。数字を集計する前に、元データの空欄と重複を減らす作業です。
よくある質問
Q. 問い合わせはすべて案件にしますか。
A. 営業対応が必要な相談は登録します。単純な連絡や既存作業の日程確認は、既存案件の活動記録として扱う方法もあります。
Q. 一社に一つの案件では駄目ですか。
A. 工場、目的、見積、時期が違う場合は分けます。顧客IDでまとめて見られるようにすれば全体像も失いません。
Q. 受注見込の確度は何%で付けますか。
A. 根拠なく感覚で付けず、顧客から得た事実と段階に基づく社内定義を作ります。確度より次の行動を優先します。
Q. 見積を出していない相談も会議で扱いますか。
A. 扱います。条件不足で止まっている案件こそ、誰が何を確認するか決める必要があります。
Q. 受注日はいつにしますか。
A. 注文書受領、メール承諾など自社で受注と認識する基準を統一し、その証拠と日付を残します。
Q. 休眠顧客への連絡は同じ案件で続けますか。
A. 過去案件は終了させ、新しい具体的相談が生じたら新規案件にします。再接触活動は顧客履歴へ残します。
案件の単位とステータスを実画面で確かめる
クレカンの営業案件一覧では、取引先、ステータス、想定金額、クレーン台数、見積数、発生日、更新日を確認できます。自社の段階名と完了条件を決めてから使うことで、同じ顧客の点検相談と修理相談を別案件として追いやすくなります。営業・受注案件管理の画面と導入方法で、既存の営業会議に必要な列がそろうか確認してください。
