天井クレーンの撤去費用|見積りの内訳と廃止の手続き

天井クレーンの撤去費用は、当サイトの工事費用の記事で示している一般的な目安で1台30万〜120万円、工期は1〜2日程度です。幅が大きいのは、解体と揚重(吊り降ろし)の方法、レールや支持構造まで外すか、産業廃棄物の処分と運搬、天井や壁の開口部の復旧で工事の量が変わるためです。
また、つり上げ荷重3トン以上のクレーンの使用をやめるときは、検査証を所轄の労働基準監督署長に返還する手続きが必要です(クレーン等安全規則第52条)。この記事では、費用の目安と内訳、撤去範囲の決め方、廃止の手続き、依頼前に揃える情報を解説します。
撤去費用と工期の目安
撤去だけを依頼する場合と、更新(入れ替え)の一部として旧クレーンを取り外す場合で、目安が分かれます。いずれも当サイトのコラムで示している一般的な目安です。
| 工事 | 費用の目安 | 工期の目安 | 出典の記事 |
|---|---|---|---|
| 撤去のみ | 1台30万〜120万円(処分費・搬出経路で変動) | 1〜2日(レールの復旧・開口補修があれば+1〜2日) | 天井クレーン工事の種類と費用 |
| 更新時の取り外し(1〜3トン) | 10万〜50万円 | 更新工事の中で実施 | 天井クレーン更新の費用 |
| 更新時の取り外し(5〜10トン) | 20万〜100万円 | 同上 | 同上 |
| 更新時の取り外し(10トン以上) | 50万〜200万円 | 同上 | 同上 |
更新時の取り外しは、新しいクレーンの据付と同じ日程・同じ揚重の段取りで行うため、撤去だけを依頼する場合と金額の考え方が異なります。撤去したあと新しいクレーンを入れる予定があるなら、撤去と更新を一緒に見積もってもらうほうが比べやすくなります。
見積書に載る費用の内訳
| 費目 | 中身 | 金額が上がりやすい条件 |
|---|---|---|
| 解体・切断 | クレーンや付帯設備を分解・切断する作業 | 大型のガーダ、溶接で固定された部材 |
| 揚重 | 外した部材を安全に吊り降ろす作業 | 移動式クレーンなど重機が必要、搬出口が狭い |
| 足場・高所作業車 | 高い位置での作業のための設備 | 天井が高い、床に機械が並んでいる |
| 電源・配線の撤去 | 給電設備や制御盤を外し、電源を安全に処置する | 受電設備から長く配線されている |
| 産業廃棄物の処分 | ガーダ・レール・廃材の処分 | 分別の手間、処分場までの距離 |
| 運搬 | 撤去物を搬出するトラック | 部材が長い、台数が多い |
| 開口部の復旧・仕上げ | 天井・壁・床の開口や取付部を元に戻す | 復旧の範囲が広い、仕上げの色合わせ |
撤去の見積りで差が出やすいのは「揚重」と「処分」です。どの方法で吊り降ろすか、撤去した部材をどう処分するか(再利用するか、廃棄物として処分するか)を、各社に同じ前提で書いてもらってください。
撤去の範囲を決める
「クレーンを撤去する」といっても、どこまで外すかで費用と工期が変わります。将来の使い方から逆算して決めます。
| 撤去の範囲 | 向く場合 | 注意点 |
|---|---|---|
| クレーン本体だけ | 同じ走行レールに別のクレーンを入れる予定がある | 残すレールの状態を点検しておく |
| 本体+走行レール | クレーンを使わなくなるが、柱の支持部は残してよい | ブラケットなどの残し方を決める |
| 本体+レール+支持構造 | 建屋のレイアウトを変える、別の用途に使う | 柱・梁の補修と開口の復旧が必要になる |
| 電源設備まで含めて | クレーン用の給電を完全にやめる | 受電設備側の処置を電気工事の業者と調整する |
同じ場所に新しいクレーンを入れる場合は、既設のレールが使えるかで費用が大きく変わります。新設の費用の考え方は天井クレーンの設置費用で解説しています。
廃止するときの手続き
撤去は工事だけでなく、法令上の手続きもセットです。
| 状況 | 必要な手続き | 根拠 |
|---|---|---|
| 3トン以上のクレーンの使用を廃止する | 遅滞なく検査証を所轄の労働基準監督署長に返還する | クレーン等安全規則第52条 |
| つり上げ荷重を3トン未満に変更する | 同上 | 同上 |
| 撤去したクレーンを別の場所で使う | 新たに設置するのと同じ扱い。3トン以上は設置届と落成検査、0.5トン以上3トン未満は設置報告書 | 同規則第5条・第6条・第11条 |
| しばらく使わないが撤去はしない | 検査証の有効期間を超えて休止するなら、期間中に休止の報告 | 同規則第48条 |
検査証の返還を忘れると、記録上は使っているクレーンとして残ります。撤去の日程が決まったら、返還の手続きも担当者を決めておきます。休止と再開の手続きはクレーン性能検査の期限切れはどうなる?でも解説しています。
撤去工事の流れ
- 現地調査(クレーンの仕様、搬出経路、撤去の範囲の確認)
- 撤去の方法と範囲の決定、見積り
- 工程の調整(工場を止める日時、立入禁止の範囲、重機の搬入)
- 電源の遮断と配線の撤去
- クレーン本体の解体・吊り降ろし、レール・支持構造の撤去
- 撤去物の搬出と処分
- 開口部の復旧と清掃、3トン以上は検査証の返還
工事の前日までに、撤去する区画の下にある機械や資材を移すか養生するかを決めておくと、当日の作業が止まりません。電源の遮断は、ほかの設備と共用の配線がないかを電気の担当者と確認してから行います。
依頼前に揃える情報
- クレーンのメーカー・型式・つり上げ荷重・スパン・設置年(銘板の写真)
- 撤去したい範囲(本体だけか、レール・支持構造・電源まで含むか)
- 建屋の図面、床から天井までの高さ
- 搬出口の大きさと、トラックや重機が入れる経路
- 撤去後に新しいクレーンを入れる予定の有無
- 工事できる日時(稼働中の工場なら、止められる時間帯)
- 3トン以上なら検査証の有無と保管場所
この情報を各社に同じように伝えると、見積りの差を「方法の違い」として比べられます。
よくある質問
Q. 撤去したクレーンは買い取ってもらえますか?
A. 中古として再利用できる状態か、鉄くずとして処分するかで扱いが変わります。買い取りや売却益を処分費と相殺できるかは業者によって異なるため、見積りの段階で確認してください。
Q. 稼働中の工場でも撤去できますか?
A. 可能ですが、作業範囲の立入禁止や、夜間・休日の作業になることがあり、その分の費用がかかります。止められる区画と時間帯を最初に伝えると、工程と金額の見通しが立ちます。
Q. 撤去だけを頼める業者を探すにはどうすればよいですか?
A. クレーンの据付や更新を扱う業者の多くは撤去にも対応しています。更新の予定があるなら、撤去と新設を同じ業者に見積もってもらうと段取りがまとまります。工事全体の流れは天井クレーン工事の種類と費用をご覧ください。
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出典・参考
- クレーン等安全規則(e-Gov法令検索):第5条(設置届)、第6条(落成検査)、第11条(設置報告書)、第48条(休止の報告)、第52条(検査証の返還)
- 費用と工期の目安は、当サイトのコラム「天井クレーン工事の種類と費用」「天井クレーン更新の費用」で示している一般的な目安です。実際の金額は現地の条件と見積りで確認してください。
