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天井クレーン・ホイスト自主点検表のひな形|始業前・月次・年次

公開: 2025年12月22日更新: 2026年10月18日
天井クレーン・ホイスト自主点検表のひな形|始業前・月次・年次

天井クレーン・ホイストクレーンの自主点検表は、作業開始前の点検(クレーン等安全規則第36条)と1か月以内ごとの定期自主検査(第35条)、1年以内ごとの定期自主検査(第34条)の3つに分けて作ります。この記事では、法令の点検事項をそのまま並べたひな形と記入例を掲載しています。

月次・年次の自主検査の結果は3年間の保存が必要です(第38条)。作業開始前の点検は保存義務の対象外ですが、残しておくと不具合の傾向がつかめます。

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自主点検表(ひな形)を使う理由

天井クレーンの点検は、労働安全衛生法およびクレーン等安全規則により、定期自主検査の実施と記録の保管が義務付けられています。
そのため、点検表テンプレートを活用した体系的な記録管理が不可欠です。

点検表テンプレートを使用することで、以下のメリットが得られます:

  • 点検項目の漏れを防止: 必須項目が明記されているため、重要な項目を見落とすことなく、確実に点検を実施できる
  • 記録の標準化: 担当者が変わっても、同じ形式で記録を残せるため、管理が容易になる
  • 法令遵守の証明: 労基署の立入検査時に、適切な点検を実施していることを証明できる
  • 作業時間の短縮: テンプレートに沿って記入するだけで、記録作成が迅速になる
  • 異常の早期発見: 定期的な記録により、不具合の傾向を把握し、重大事故を未然に防げる

「手書きで適当に記録している」という状態では、重要な項目の見落としや記録の不備が発生し、法令違反となるリスクがあります。
点検表テンプレートを活用することで、安全で確実な点検体制と法令遵守を実現できます。

自主点検表に書く項目(始業前・月次)

天井クレーンの点検表には、法令で定められた必須項目を漏れなく記載する必要があります。
以下に、日常点検(始業前点検)と月次点検(定期自主検査)の必須項目をまとめます。

日常点検(始業前点検)表の必須項目

クレーン等安全規則第36条により、その日の作業を開始する前の点検が義務付けられています。法令が定める点検事項は「巻過防止装置・ブレーキ・クラッチ・コントローラーの機能」「ランウエイの上とトロリが横行するレールの状態」「ワイヤロープが通っている箇所の状態」の3つです。
現場の点検表では、これに警報装置や電線類などの確認を加えて、次のような項目にすることが多くあります:

  • 点検実施日時: 点検を実施した年月日と時刻
  • 点検者氏名: 点検を実施した者の氏名と印
  • 機械名称・型式・管理番号: 点検対象のクレーンの識別情報
  • 巻過防止装置の機能: 動作確認の結果(良好・不良・処理済)
  • ブレーキ、クラッチの機能: 動作確認の結果
  • コントローラー(操作押しボタンも含む)の機能: 動作確認の結果
  • ランウェイの上及びトロリーが走行するレールの状態(走行路): 異常の有無
  • ワイヤーロープが通っている箇所の状態: 異常の有無
  • 過負荷警報装置、その他警報装置の機能: 動作確認の結果
  • ワイヤーロープ等の異常の有無: 損傷・切断・よじれ・錆の有無
  • アースの状態、漏電遮断器の作動状態及び電線類の損傷の有無: 異常の有無
  • 異常時の処理内容: 異常が発見された場合の対応内容

異常を認めたときは、直ちに補修しなければならないため、異常発見時の対応も必ず記録します。

月次点検(定期自主検査)表の必須項目

クレーン等安全規則第35条により、1か月以内ごとに1回、定期に自主検査を行うことが義務付けられています(1か月を超えて使わない期間は除き、再開時に行います)。
点検表には、以下の項目を記載します:

【基本情報】

  • 機械名称・型式・管理番号又は製番: 点検対象のクレーンの識別情報
  • 入場年月日: クレーンを設置した年月日
  • 検査年月日: 点検を実施した年月日
  • 検査者氏名: 点検を実施した者の氏名と印
  • 総合所見: 点検全体の総合的な評価

【点検項目と結果】

  • 巻過防止装置、その他の安全装置の異常の有無: 検査方法(目視、操作)、結果、措置、補修等の内容
  • 過負荷警報装置、その他警報装置の異常の有無: 検査方法、結果、措置、補修等の内容
  • ブレーキ及びクラッチの異常の有無: 検査方法(目視、操作)、結果、措置、補修等の内容
  • ワイヤーロープ及びつりチェーンの損傷の有無: 検査方法(目視、ノギス)、結果、措置、補修等の内容
  • フック、グラブパケット等のつり具の損傷の有無: 検査方法(目視、スケール、探傷器、テストハンマー)、結果、措置、補修等の内容
  • 配線、配電盤の異常の有無: 検査方法(目視、メガー、テスター、操作)、結果、措置、補修等の内容
  • 集電装置の異常の有無: 検査方法(目視、メガー、テスター、操作)、結果、措置、補修等の内容
  • 開閉器の異常の有無: 検査方法(目視、メガー、テスター、操作)、結果、措置、補修等の内容
  • コントローラーの異常の有無: 検査方法(目視、メガー、テスター、操作)、結果、措置、補修等の内容
  • 結果記号: 良好・不良の記号(○、×など)
  • 損害の有無等: 異常が発見された場合の詳細
  • 補修等の内容: 補修・修理を実施した場合の内容

各項目について、検査方法、結果、措置、補修等の内容を明確に記録することが重要です。

点検表の記入例

以下に、実際の点検表の記入例を示します。

日常点検(始業前点検)表の記入例

点検実施日時: 2025年1月15日 8時00分
点検者氏名: 山田 太郎(印)
機械名称: 天井クレーン
型式: TC-5t
管理番号: TC-001

点検結果:

  • 巻過防止装置の機能:良好(○)
  • ブレーキ、クラッチの機能:良好(○)
  • コントローラーの機能:良好(○)
  • ランウェイの上及びトロリーが走行するレールの状態:良好(○)
  • ワイヤーロープが通っている箇所の状態:良好(○)
  • 過負荷警報装置の機能:良好(○)
  • ワイヤーロープ等の異常の有無:異常なし(○)
  • アースの状態、漏電遮断器の作動状態及び電線類の損傷の有無:異常なし(○)

異常時の処理: 異常なし

月次点検(定期自主検査)表の記入例

機械名称: 天井クレーン
型式: TC-5t
管理番号: TC-001
入場年月日: 2020年4月1日
検査年月日: 2025年1月15日
検査者氏名: 佐藤 花子(印)

点検結果(一部抜粋):

  • 巻過防止装置、その他の安全装置の異常の有無:
    検査方法:目視、操作
    結果:良好(○)
    措置:なし
    補修等の内容:なし
  • ブレーキ及びクラッチの異常の有無:
    検査方法:目視、操作
    結果:良好(○)
    措置:なし
    補修等の内容:なし
  • ワイヤーロープ及びつりチェーンの損傷の有無:
    検査方法:目視、ノギス
    結果:良好(○)
    措置:なし
    補修等の内容:なし
  • フック、グラブパケット等のつり具の損傷の有無:
    検査方法:目視、スケール
    結果:要注意(△)
    措置:フックの開口部がわずかに拡大しているが、使用可能範囲内
    補修等の内容:次回点検時に再確認予定

総合所見: 全体的に良好な状態を維持している。フックの開口部については、次回点検時に詳細確認を実施する。

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保存義務と運用ポイント

天井クレーンの点検表は、労働安全衛生法およびクレーン等安全規則により、記録の作成と保管が法的に義務付けられています。

保存義務の詳細

労働安全衛生法第45条とクレーン等安全規則第38条により、事業者は自主検査の結果を記録し、保存する義務があります。
月次点検(定期自主検査)と年次点検(年次自主検査)の記録は、3年間の保管が義務付けられています。

保存期間: 3年間(点検実施日から起算)
保存方法: 紙媒体または電子媒体(いずれも可)
保存場所: 事業場内または事業場外(いずれも可、ただし立入検査時に提示できる場所)

日常点検(作業開始前の点検)の記録は、第38条で保存義務の対象から除かれています。ただし、安全管理の観点から残しておくことをおすすめします。

運用時のポイント

点検表を効果的に運用するためには、以下のポイントに注意します:

【記録の正確性】

  • 点検実施後、速やかに記録: 点検実施後、記憶が鮮明なうちに記録を作成する
  • 記録の改ざんを防止: 記録は正確に記入し、後から改ざんしない
  • 異常時の詳細記録: 異常が発見された場合は、部位・内容・対応方法を詳細に記録する

【記録の管理】

  • 整理と保管: 点検表は日付順に整理し、3年間確実に保管する
  • バックアップの作成: 電子媒体で管理する場合は、定期的にバックアップを取る
  • アクセスの容易性: 立入検査時にすぐに提示できるよう、アクセスしやすい場所に保管する

【記録の活用】

  • 傾向分析: 過去の記録を分析し、不具合の傾向を把握する
  • 予防保全: 記録から不具合の兆候を早期に発見し、予防保全を実施する
  • 教育・訓練: 記録を教育・訓練の教材として活用する

点検表は、単なる記録ではなく、安全確保と法令遵守のための重要なツールとして活用することが重要です。

自主点検表のひな形(天井クレーン・ホイストクレーン共通)

以下の表を写して、現場の点検表のひな形としてお使いください。点検項目の欄は、クレーン等安全規則の条文の事項をそのまま並べています。設備に合わせて行を足す場合も、この行は消さないでください。

作業開始前の点検表のひな形(第36条)

点検項目点検方法結果(○・×)異常時の処置
巻過防止装置の機能操作して停止を確認
ブレーキ・クラッチの機能操作
コントローラー(押ボタン)の機能操作
ランウエイの上・トロリが横行するレールの状態目視
ワイヤロープが通っている箇所の状態目視

欄外に「点検日」「点検者」「クレーンの管理番号」を書く欄を設けてください。

月次の定期自主検査表のひな形(第35条)

検査項目検査方法結果措置・補修等の内容
巻過防止装置その他の安全装置の異常の有無目視・操作
過負荷警報装置その他の警報装置の異常の有無目視・操作
ブレーキ・クラッチの異常の有無目視・操作
ワイヤロープ・つりチェーンの損傷の有無目視・ノギス
フック・グラブバケット等のつり具の損傷の有無目視・スケール
配線・集電装置・配電盤・開閉器・コントローラーの異常の有無目視・テスター・メガー・操作

表の上に「機械名称・型式・管理番号」「検査年月日」「検査者氏名」、表の下に「総合所見」の欄を設けると、記入例のとおりに書けます。

年次の定期自主検査(第34条)

年次の自主検査は、第34条で荷重試験を行うことが定められています。定格荷重に相当する荷を吊って、つり上げ・走行・横行などの作動を定格速度で行います(直前2か月以内に性能検査の荷重試験を行った場合などは不要)。構造部分の点検も含めて項目が多いため、点検業者が持っている検査表に沿って行うのが一般的です。

ひな形を使うときの注意

  • 様式は自由:法令で点検表の様式は決められていません。紙でもExcelなどの電子データでも、点検の結果が記録として残れば構いません
  • 公的な様式の確認:労働局が様式を公開している場合もありますが、掲載先が変わることがあります(以前この記事で紹介していた労働局のPDFは、2026年10月時点で開けなくなっていました)。最新の様式は所轄の労働局・労働基準監督署でご確認ください
  • ホイスト単体の場合:つり上げ荷重0.5トン以上のホイストも、クレーンとして同じ点検が必要です。荷重区分ごとの違いはホイスト自主点検表のひな形で解説しています

まとめ:ひな形を使って自主点検の記録を整える

天井クレーンの点検は、適切な点検表テンプレートを活用することで、確実で効率的な記録管理が可能になります。

法令で定められた点検事項を漏れなく並べたひな形を使い、結果を3年間保存することで、安全確保と法令遵守の両立を実現できます。

点検表の適切な作成と記録管理により、従業員の安全を守り、生産ラインを止めず、法令を遵守した安定した工場運営を実現できます。

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