天井クレーン工事の種類と費用|更新・増設・撤去まで解説
天井クレーン工事の種類と費用|更新・増設・撤去まで解説
「天井クレーンの更新や増設、撤去にどれくらい費用と期間がかかる?」とお悩みのご担当者様へ。
天井クレーン工事は、既存設備の更新・ライン増設・レイアウト変更・老朽機の撤去など目的により工程も費用も変わります。安全にクレーンを使い続けるためには、計画段階で費用内訳と工期、追加費の出やすい条件を整理しておくことが重要です。
この記事では、工事の種類(更新/増設/撤去)、工期目安、費用相場、業者選定のポイントをまとめて解説します。
この記事でわかること
- 工事の種類と目的(更新/増設/撤去)
- 工期の目安と短縮のコツ
- 費用相場と内訳、追加費が発生する条件
- 失敗しない業者選定のチェックポイント
1. 工事の種類(更新/増設/撤去)
天井クレーン工事は目的で大きく3つに分かれます。
安全・コスト・工期の観点で最適な工法と工程を選定することが重要です。現場条件や停止可能時間帯に応じて、段取りや仮設計画を柔軟に組み替えると、無理のないスケジュールで進められます。
更新(入替・リプレース)
老朽化・能力不足・制御盤の陳腐化に対応するための入替。既存ガーダーを流用するケースと、ガーダーごと新設するケースで費用と工期が変わります。
増設(ライン増設・能力アップ)
新ライン増設や能力増強に伴う新設。レール延長や柱補強が必要な場合は構造計算・仮設計画を含めて検討します。
撤去(廃止・レイアウト変更)
不要設備の撤去・処分。上架機の解体、レール撤去、開口部復旧、産廃処理費が主な内訳です。
2. 工期の目安
現地条件と夜間・休日作業の有無で変動しますが、一般的な目安は以下です。
停止時間を短縮したい場合は、事前の部材手配・搬入経路の確保・事前養生計画が効きます。試運転や安全確認の時間も必ず織り込んでおきましょう。
- 更新(標準1台): 2〜4日程度(撤去1日+据付1〜2日+試運転)
- 増設(レール延長含む): 3〜7日程度(構造補強があるとさらに加算)
- 撤去のみ: 1〜2日(レール復旧・開口補修がある場合は+1〜2日)
工期短縮には事前のレイアウト調整、夜間・休日施工の可否確認、養生計画の共有が効果的です。
3. 費用相場(目安)
規模・能力・構造補強の要否で大きく変動します。
下記は目安レンジです(運搬・諸経費込み/処分費・仮設は条件次第)。既存流用か新設か、制御盤の更新有無、防爆仕様の要否が主な増減ポイントです。
- 更新(同等能力・既存レール流用): 150〜400万円/台
- 増設(新設・レール新設/延長): 250〜600万円/台
- 撤去のみ: 30〜120万円/台(処分費・搬出経路で変動)
制御盤更新やインバータ化、防爆仕様、長大スパン、特殊搬入(玉掛・揚重)があると加算されます。
4. 内訳と追加費が出やすい項目
見積りでは「本体・工事・運搬・諸経費」に加え、以下の追加条件を確認してください。
特に高所・搬入制約・夜間施工・防爆などは追加費の典型です。事前に写真・図面で共有し、見積り条件を明文化すると後出しコストを防げます。
見積もり内訳(更新・入替)
- 本体:クレーン本体そのものの費用です。新品機やメーカー、仕様(能力・スパン・オプション)により価格が決まります。
- ガーダー(流用/新設):クレーンを支える主桁部分。既存のものを流用する場合と、新設する場合でコスト・工期が大きく変わります。
- 据付・揚重:クレーンやガーダーの現地設置、クレーン車やラフター等による吊り上げ作業費です。
- レール補修:既存レールの摩耗や損傷を修復する費用で、流用時はほぼ必須です。
- レール再塗装:レール部や周辺構造の防錆・美観向上のための再塗装費です。
- レール芯出し:クレーンが真っ直ぐ走るようにレールの位置調整・芯出しを行う作業です。精度が必要な作業で、安全性にも直結します。
- 電気工事(制御盤更新・配線):制御盤の新設や更新、リミットスイッチ・配線引き回しの工事です。制御方法の刷新や安全機能追加の場合は金額が増えます。
- 試運転:設置後の動作確認、荷重試験などの調整費用です。安全・性能の最終チェックのため必須です。
- 検査:労働基準監督署や第三者機関などによる法定検査や自主検査の費用です。
- 写真報告:工事経過や完成状態の写真撮影・報告書作成費です。発注側要件で写真枚数指定がある場合は要確認。
- 運搬:機材・部材・重機などの現場搬入出にかかる運送費です。距離や搬入経路で金額が変わります。
- 諸経費:現場経費、安全管理、現場管理費など(その他雑費含む)。
増えやすい項目:
- レール補修/芯出し: 既存レールを流用する場合は、多くの場合で工事前に精度確保や補修が必要です。レールの摩耗・歪みや基礎沈下があると作業工数・材料費が増えます。
- ガーダー搬入時の揚重・養生: 大型ガーダーや天井高がある現場では搬入・吊り上げ時に特別なクレーンや養生・補強が必要となり、費用が上振れしやすいです。搬入ルートの狭さや障害物が多い場合も追加費用要因となります。
- 制御盤の防爆化・無線化・インバータ化: 現場の防爆要件や省配線、省エネ・精密制御の要望によるカスタマイズ(防爆対応、無線リモコン、インバーター搭載など)が発生すると、そのための材料・設計・工事費が追加されます。
これらの追加項目は、現場状況・安全要件・仕様の希望によって必要性が決まります。特にレールの状態や搬入経路、防爆・インバータなどの電気仕様次第で見積りが大きく変動します。事前に条件を確認・明示することで後出しコストを防ぎましょう。
見積もり内訳(増設・新設/延長)
- 本体:新規に設置するクレーンの本体費用です。定格荷重やスパン、各種仕様により大きく変動します。
- ガーダー:主桁(ガーダービーム)の製作・設置費用。新設や延長の場合は設計・据付工事も含まれます。
- レール新設/延長:新規で設置や既存レールの延長・取り替え。走行経路の延伸や能力アップ時に必要です。
- 柱・梁補強:建屋や支持構造の補強工事。重量やスパンが大きい場合、既存柱や梁の補強が必要になるケースがあります。
- アンカー工事:構造物やレールを固定するための基礎・アンカーボルト設置工事です。
- 電気工事(電源・制御盤・配線):新しい電源の引き込みや制御盤・配線工事です。動力容量追加や盤増設が発生することもあります。
- 揚重:大型機材や部材の据付・吊り上げ・搬入作業です。大型重機やクレーン車の利用料が含まれます。
- 足場:高所作業用の足場設置費用です。天井が高い場合や作業空間が狭い現場で必須になります。
- 養生:既存設備や床・壁などを保護するためのシート掛け、仮囲いの設置費用です。現場の美観や安全確保に繋がります。
- 試運転:設置後の動作・性能の確認および荷重試験を実施する費用です。
- 検査:法定または自主検査、完成後の安全確認にかかる費用です。
- 写真報告:工事中・完成後の写真撮影と報告書作成費。依頼主への提出義務があることも。
- 運搬:部材・機材の現場搬入にかかるトラック・車両費です。
- 諸経費:現場管理費、安全・衛生対策、保険などその他諸経費。
増えやすい項目:
- レール延長・補強:新設や能力アップ時、既存レールでは対応できない場合には延長・補強工事が必要です。スパンや荷重が大きくなるほど増額要素となります。
- 足場・高所作業車:天井高が高い、作業場所が限られている場合は特殊な足場や高所作業車の追加手配が必要となり費用が増えます。
- 搬入経路養生・夜間/休日割増:搬入口周辺や通路養生、また、昼間作業が難しい場合の夜間・休日工事に伴う追加費。現場の物理的・時間的制約がある場合に発生します。
- 電源/盤増設:新規設備増設や既存設備との併用で動力・制御盤の容量が足りない場合、盤追加・動力工事が必要です。
これらの追加項目は、現場の構造(スパン、天井高、経路)、作業時間帯、電源容量など現地条件により左右されます。事前に現場調査・計画の段階で条件を伝えることが費用抑制に有効です。
見積もり内訳(撤去)
- 解体・切断:既設クレーンや付帯設備を分解・切断する作業費用です。撤去工法や設置環境により金額が変わります。
- 揚重:撤去した部材等を安全に降ろす施工費用。大型部材や狭所搬出時は特殊重機利用もあります。
- 足場:高所や難易度の高い作業エリアで設置する仮設足場の費用です。
- 養生:既存設備・床・通路の破損防止や安全確保のための保護作業です。
- 産廃処理:撤去したガーダー・レール・廃部材等の産業廃棄物処分費。分別や持ち込み先で価格が変動します。
- 運搬:撤去物や発生廃材の搬出トラック費用です。荷姿や処理場距離も考慮。
- 電源/配線撤去:電気配線や制御盤の取り外し、電源復旧作業です。撤去後も安全・美観を確保します。
- 開口復旧:撤去後の天井・壁・床など開口した部分を元に戻す作業。復旧範囲が広いと費用が増します。
- 塗装仕上げ:復旧部への塗装など、最終仕上げの美装費用。不陸調整や色合わせも含みます。
- 諸経費:現場管理費・産廃マニフェスト・安全対策費など。
増えやすい項目:
- 産廃処理・運搬:廃材の重量や量が多い場合や、処分場が遠い場合、アスベストなど特別管理が必要な場合に費用増。現地分別・仕分けの手間も反映されます。
- 足場・揚重:高所や狭い場所での撤去には、特殊な足場や揚重計画が求められるため追加費用となります。
- 開口復旧・塗装仕上げ:撤去範囲が大きい、復旧後の仕上げ品質を上げたい場合に費用が増えます。既存との色合わせや補修範囲拡大もコスト増要因です。
これらの項目は、安全な解体および現状回復、法規遵守・見た目面まで配慮して施工するため必要となります。搬出量や復旧範囲、廃棄物種別によって大きく金額が変わるため、事前に十分な現場確認・条件設定が大事です。
5. 業者選定のポイント
見積り時は工事後の保守体制や報告書・安全計画まで確認しましょう。
構造計算や追加条件の透明性、緊急時対応力などで信頼性に差が出ます。
- 構造計算・施工計画力: ガーダー・レール補強の妥当性、揚重計画の有無。
- 安全管理: KY・リスクアセスメント、立入・養生計画の提示。
- 報告書・引渡し書類: 試験成績、検査記録、写真報告があるか。
- メンテ体制: 施工後の保守・点検・緊急対応の可否。
- 見積り透明性: 本体・工事・諸経費・追加条件が明細化されているか。
施工力だけでなく、構造計算や安全計画、引渡し書類の充実度で品質が分かれます。工事後の保守・緊急対応までワンストップで頼れるかも大きな選定軸です。
6. 依頼前に準備する情報
設備仕様や現場図面を事前に揃えることで、見積り精度向上と追加費防止に繋がります。
希望仕様や作業制約も詳しく伝えると現調や打合せがスムーズです。
- 既存設備の仕様(能力、スパン、製造年、メーカー)と図面
- 更新/増設の目的、希望能力、設置エリアの寸法・障害物
- 希望工期と停止可能時間帯、夜間・休日の可否
- 搬入経路、揚重・仮設の制約(天井高さ・床耐荷重・搬入口サイズ)
- 電源容量・盤位置、無線化やインバータ化の要否
最初の打合せで上記を揃えると、現調回数と見積りブレを抑えられます。図面・写真・レイアウト変更案をセットで渡すと、工期短縮と追加費防止に効果的です。
7. まとめと次のステップ
工事の目的(更新/増設/撤去)を明確化し、工期と費用の目安を把握したうえで、追加費が出やすい条件を先に洗い出すことが成功の近道です。構造計算・安全計画・報告書の有無まで確認し、同条件で複数社を比較しましょう。工事後の保守体制まで含めて選定すると、稼働率と安全を長期で守れます。
次の一手として、①現場条件と希望仕様の整理、②必要図面と写真の準備、③同条件で3社程度へ見積り依頼、④工期・内訳・追加条件を比較して発注、の流れがおすすめです。
ログイン
